三國正樹 『読書記録』

今までに読んだ本の記録です。

大作曲家 サン=サーンス

著者: ミヒャエル・シュテーゲマン(西原稔訳)    発行所:音楽之友社

読書年月: 2017年11月

印象に残った言葉: このようにしてサン=サーンスは、世紀の変わり目を過ぎるとますます音楽史の欄外に置かれた。彼自身はたしかに変わっていなかったが、時代が彼を追い越していったのである。

・・・サン=サーンスピアノ曲を最近勉強しているので、その関係で読みました。いろいろ知らないことが多く、今後もフランス音楽関係の本を読んでいこうと思っています。

・・・マスネ、ダンディ、フランク、ショーソンなど、これから勉強してみたい作曲家は多く存在します。日本語で書かれたものがあまり多くないのは残念ですが、一冊でも多く読んでみたいものです。

 

教育改革の9割が間違い

著者:諏訪哲二     発行所:KKベストセラーズ

読書年月:2017年11月

印象に残った言葉: 理念や理論を追求すること自体に反対ではないが、理屈や論理があっているからといって、それが正しいという考えは執らない。たいてい理念や理論はつじつまが合っているからである。それは、現実の人間生活と間尺があって初めて正しいといえる。

・・・アクティブラーニングはよく教育の現場で使われる言葉ですが、伝統的な「班学習」に似ているとのこと。この様子は何度か見ました。グループを作って課題について話し合わせるという形態。「一人では達成できない、より高い学習効果を出させようとするもの」と書いてありました。

・・・確かに、「三人寄れば文殊の知恵」というように、一人ではわからなかったことが何人かで話し合っているうちに分かることはあります。独学が大好きな私もその恩恵にあずかったことが何度かありました。しかし、この本の著者は「理屈が合いすぎている」と書いており、どうやら懸念を抱いているようです。

・・・この本では第1章が参考になった、というのが読み終わってからの結論です。

コンサートの文化史

著者: ヴァルター・ザルメン(上尾信也/網野公一訳)  発行所:柏書房

読書年:1995年

印象に残った言葉: 数多くのこのような子どもたちが彗星のごとく登場したが、顔を覚えられるまでもなく、ほとんどが精神異常か精神障害を患ってすぐに舞台から消え去っていった。興行主により、子供の音楽家として確実に売れるようなことはもはやないとされたのである。

・・・西欧におけるコンサートの歴史を考えるときに、ときどきこの本を読み直しています。日本でもクラシック音楽の演奏会は「文化」として根付いてきたと思われますが、私にはどうもまだ変な所があるようにも思えます。歴史に学ぶことはやはり大切と考えます。

 

千曲川ワインバレー 新しい農業への視点

著者: 玉村豊男      発行所: 集英社

読書年月:2017年10月

印象に残った言葉: しかし、ビール産業は二十世紀の末にそのピークに達したあと、いまゆっくり退潮へと向かっています。二十世紀が産業革命以来進化し続けてきた工業がその頂点に達した世紀であるのに対し、二十一世紀は農業の世紀であることが、誰の目にも明らかになってきたからです。

・・・日本のワインが最近美味しくなっているとは思っていました。「岩野原ワイン」が特にすばらしいのですが、ヴィラデストのワインも今度味わってみたいと思っています。

・・・ただ、価格面で輸入ワインよりまだ高価であることは事実。家庭で手軽に飲むにはやはり1000円以下のものを選んでしまうことが多いのです(私の場合はイタリアの白ワインが多い)。

・・・「縁側カフェ」について書いてある部分を興味深く読みました。たしかに公的でも私的でもない「第三の空間」は少なくなっていると思います。人間同士のコミュニケイションが不足している現代、酒やワインを語るような仲間が集う空間というものはもっとあって良いように思います。

言ってはならない 日本のタブー

著者: 西岡研介伊藤博敏+森功鈴木智彦ほか      発行所: 宝島社

読書年月: 2017年9月

印象に残った言葉: 1987年の「国鉄改革」はこれまで、「戦後最大の改革」などと称賛されてきた。しかし30年が経ち、ようやく負の側面にも光が当てられるようになった。

・・・先週の土曜日に掲載したものは削除しました。売れているという理由だけで買ってしまったことを反省しています。

・・・ところで、私が高校に入学する直前に「スト権スト」があり、千葉県の下宿先から東京の高校に通学する私としては、かなりの被害を受けました。その時の気持ちはまだ覚えています。

・・・サービス業に携わる人たちは、基本的にお客様のことを考えて仕事をするべきではないか、ということをその時に強く感じました。成人してから、そのことを思い出し、経営者に文句を言いたくなるような仕事はすぐにやめることにしています。所詮短い人生だし、一つの仕事にしがみつかなくたって、きっといいこともあるだろう。現在でもその気持ちは変わっていません。

「社会調査」のウソ

著者: 谷岡一郎      発行所:文藝春秋

読書年:2001年

印象に残った言葉:  実はもう一つ、隠されたテクニックが存在する。それは最後(後半)の質問に向け、前段部でわざといくつかの問題点を設けておくもので、「キャリーオーバー効果(carryover effect)」と呼ばれているものである。回答者はその前のいくつかの問題に答えるうちにある種の先入観を学習し、その結果としてターゲットである最後の質問に影響を与えるものである。

・・・自分は騙されやすい性格だとはわかっているので、こういう本をたくさん読みました。

・・・最近のマスコミの情報。ときどき「あれっ?」と思うようなニュースを見ます。ただ、忙しさでそれを検証している暇もないので、いつかわかるだろう、くらいしか考えていません。

・・・この本の最後に「私に調査企画を指揮させてくれたら、どんな結果でも出して見せる」と書いてあり、なかなか面白い考え方だと思いました。序章では「世の中のいわゆる「社会調査」は過半数がゴミである」とも。この本で、様々な新聞等の記事を検証、その矛盾を指摘する内容はさすがと思わせるものがあり、こういう意見はいつも参考にしたいと思っています。

21世紀へのチェルニー

著者: 山本美芽      発行所: 株式会社ショパン

読書年: 2016年

印象に残った言葉: これまで日本のピアノ教育において、チェルニーは不可欠な存在で、必ず通らなければならない道のようなものだと考えられていた。しかし、海外の事例を見ると、専門か趣味かを問わず、エチュードによる徹底した指の訓練をしなくても、ショパンやリストは弾けるようになるものだ。

・・・昨年夏より「ピアノ上級技巧の学習方法」という論文を作成してきました。今年度の群馬大学紀要論文として発表の予定ですが、この本は非常に参考になった一冊です。

・・・上記記述の後に、「ソルフェージュの勉強」「幅広いレパートリ―の習得」「いい奏法の習得」が必要との指摘があります。納得できることだと思います。確かに音楽作品としてあまり面白みのないエチュードの練習に時間を費やすことがそれほど良いとは私も思いません。

・・・ただ、技巧とはどのような仕組みになっているかについて、一通りの基本は経験しておくべきだと考えます。たとえばアルベルティ低音が出てきたら指使いを考えなくても自然と指が動く、というように。

・・・初見試奏も必要ですね。楽譜を見てすぐに演奏できる能力。これも、ほぼすべてのピアノ演奏テクニックを経験しておけばできると思われるので(現代作品は例外かもしれませんが)、リストが行ったレヴェルとはいかなくても普段から練習を心掛けるべきかと思います。

・・・そんな訳で、現在私が色々な人にお勧めしているのはチェルニー「8小節の練習曲」などの効率的に書かれた練習曲です。

・・・そんな私でも、ときどき「チェルニー50番」をさらい直すこともあります。これは若いころにこのエチュードを習ったからという以外に理由はないので、やはりどういう指導を受けるかは重要と言わざるを得ません。