三國正樹 『読書記録』

今までに読んだ本の記録です。

シューベルトの音符たち

著者:池辺晋一郎      発行所:音楽之友社

読書年:2007年

印象に残った言葉:とにかく、シューベルトの置かれた環境、その音楽への接しかたは、現代のアマチュアのそれに似ていると言っていい。そして一方、現代の作曲家である僕は、アマチュアの音楽活動が大好きで、アマチュアの合唱やオーケストラとしばしばつきあっている。音楽の神髄はアマチュアにある、と言明してはばからないほどなのである。シューベルトをうらやましいと言ったのは、それゆえだ。

・・・ベートーヴェンの32曲のピアノソナタを公開演奏したあと、次はシューベルトを研究してみようと思って「新・ピアノ音楽と19世紀」というリサイタル・シリーズを開始したのが昨年5月。しかし、第2回(おそらく来年の5月)は違う作曲家を取り上げます。シューベルトで演奏してみたいピアノ作品は限られてしまうことに気が付いたためです。ピアノソナタだと「ホ長調D459」「イ長調D664」「ホ短調D566」「嬰へ短調D571」ですが、D459は五楽章制をシューベルトが計画したのか疑問ですし、D566は二楽章として演奏する人もいます。D571は美しい主題を持つ名作と思われますが未完成で、補完して演奏する気にはなかなかなれません(自分一人で補完版を弾いて楽しむことはありますが)。

シューベルトの音楽は美しいと思います。ただ、気になる点がいくつかあります。まず転調が自然に聞こえない時があること(「さすらい人幻想曲」の第2楽章から第3楽章への転調、ピアノソナタD459の第5楽章の一部など)。そして拍節が分かりにくい時があること(「ピアノソナタ D959」の第1楽章第2主題の一部など) 。そして、ピアニスティックな演奏の喜びという点で他のロマン派作曲家にやや及ばないように思われること(そこが魅力とも言えますが)。そんなことから、シューベルトソナタを2曲演奏した段階でいったんお休みにし、来年はシューマンショパンの作品を予定することとしました。詳細はこれから考えます。