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三國正樹 『読書記録』

今までに読んだ本の記録です。

ピアノ・ノート

著者:チャールズ・ローゼン(朝倉和子訳)   発行所:みすず書房

読書年:2011年

印象に残った言葉:これもまたウィーンを発祥地とする(と思われる)最近の流行は、両手を同時に弾かないーー左手を右手より早めに弾くーーという昔の慣習的奏法の復活である。十八世紀にはこれはルバートと呼ばれ、装飾的表現法のひとつだった(ショパンが「ルバートでは左手は拍子を確実にとり、右手は自由に弾く」と言うときのルバートが、ここでいうルバートの意味だが、この術語にはこれとは違う意味もあり、ショパンには違う種類のルバートも出てくる)。(中略)こういうルバートはホロヴィッツシュナーベルの演奏にはめったに見られず、アルトゥール・ルービンシュタインゼルキンおよびその同時代人はまずこういう弾き方をしない。

・・・副題は「演奏家と聴き手のために」。ここに述べられているような奏法が苦手です。自分で行う気はありませんし、聴かされるのは本当に苦手。あるピアノリサイタルで、最初の曲が始まったらほぼすべての和音がこの弾き方をされていたことがあり、休憩で帰らせてもらったこともあったくらいです。この方法を濫用したピアニストについても述べられており、パデレフスキ、バウアーの名前が挙がっていました。バックハウスやベネデッティ=ミケランジェリにもこの傾向があったようです。この本では「表現にかかわる技法を系統的に使うことの問題点」というように書かれておりまして、C.ローゼン氏の考え方には私は全く賛成であります。ある種の「癖」と思われるような奏法を繰り返されるのはつらいものでして、音楽作品が芸術であるのなら、演奏も芸術をめざしてほしいものだと常々思っているところです。

・・・演奏会に出かけることが少なくなりました。仕事の忙しさといえばたしかにそれもありますが、心を動かされるような演奏会が少なくなったことも原因かもしれません。若いころは勉強ということもあり、少ない小遣いをやりくりして演奏会をよく聴きに行きました。最近は自分の出演も控えるようになってきているので、情報誌などを見ながら良さそうな演奏会を見つけてみたいと思っています。