三國正樹 『読書記録』

今までに読んだ本の記録です。

属国民主主義論 この支配からいつ卒業できるのか

著者:内田樹白井聡      発行所:東洋経済新報社

読書年月:2017年7月

印象に残った言葉:市民的社会の指標は「器量が大きい」とか「胆力がある」とか「気が練れている」といった文学的な表現で語られるわけですから、数値化できない。でも、今の人はそういう「なんだかよくわからない指標」で人間を語ることがすごく厭みたいですね。客観性の高い査定を受けて、その結果を数値で示してもらいたいらしい。

・・・格付けは「同じこと」をやっている人間の頭数が多ければ多いほど精度が上がる、という記述があり、なるほどと思いました。多くの人が同じような領域に殺到するという現実。これでは独創的な研究は現れなくなるかも。

・・・いつでしたか、カラオケを数値で評価する番組を見たことがありましたが、あまり面白いとは思いませんでした。何と言いますか、人間らしい表現というようには聞こえず、テクニックを競っているだけのように聞こえたもので。

・・・今朝、久しぶりでFM放送を聴いていて思ったのですが、クラシック音楽の演奏で仕事することの価値が30年くらい前とはずいぶん変わったのではないかということ。「査定」を受ける場であるコンクールの数は多くなり、みんな何らかの賞を獲得しているイメージがありますが、その演奏が同じような感じのものになってはいないだろうか、と思います。以前は個性派の演奏家がたくさんいました。そしてそれをみんな楽しんでいたように思うのですが、現代ではコンクールが基本となっているかのようで(あるいは芸能人的なデビューなど)、本当に音楽を愛して演奏している人が少ないように思います。むしろアマチュアの方にそういう方向の奏者がいるのかも、と思ったりします。