三國正樹 『読書記録』

今までに読んだ本の記録です。

日本語のために

著者: 丸谷才一      発行所:新潮社

読書年: 1985年

印象に残った言葉:言葉と文字とは、本体、文明の伝統に属してゐる。だから歴史の厚みを存分に受けとめたかたちで、自在に伸びちぢみしながら、今日の実用に役立つことができるのである。ところが一片の法令で漢字と仮名づかひがたちどころに改変されるのを見れば、教員も父兄もすつかり自信を失ひ、言葉と文字の約束事を文明の伝統そのものに訊ねることができなくなつてしまつたとしても、あながち咎めるわけにはゆかないだらう。

・・・ワードプロセッサーでだれもが文書を作成するようになった現在、私の名前「三國」も旧字で表記してほとんど問題は起こりませんし、「澤田さん」「大澤さん」などの表記はむしろ旧字の方が自然に思える時代になって来ました。いわゆる「はしご高」などの漢字も「髙」というように表記できます(パソコンによっては表示されないかも(?)。「﨑」なども同様ですね。

・・・今はどうかよくわかりませんが以前TVで「モーツァルトの情ちょ」と表示されているのを見て笑ってしまいました。「なさけちょ、っていったい何のこと?」「僧りょ」もひどいものです。そのくらいの漢字、読めるし書けるんですが。

・・・最近気になるのは外来語の表記について。「リハビリテイション」など一般的になってきている現在、「長音は、原則として長音符号「ー」を用いて書く」が強力に残っているようですが、何とかならないものかと思っています。私の友人でも「メイル送りますね」などと書く人がいますし、「Make → メイク」など、発音に近い表記が一般的になって来ているように思うのですがいかがでしょう。「most モウスト?」しかし無声音の表記はどうするのか。それに発音に忠実と言っても「テーブル」は「テイブォ」と書くのかという問題(「アンビリーバボー」は定着してきた)。なかなかカタカナ語は難しいものですね。昔「シンコペイション」と書いたら出版社に「シンコペーション」にしてください!と直されたことを思い出します。表記はそこまでして一律に揃えなければならないものなのでしょうかねぇ。日本人の発音下手はこの辺に原因がありそうで、考えてしまいます。